原作漸く読破致しました。思えば長く読んでいた気が致します。恐らく自分の読解速度の遅さも、通
勤時間の短さも(毎日バス8分電車1分+6分)足を引っ張っていた気がします。 最後迄残された私の最大級の謎……それは……映画のエンディングで歌われている『アランティーエ、ウトゥリエ』って結局何!?という事です。……エルフ語……かとは思いますが……。 この『指輪物語』、ネタバレを非常に嫌う私は周囲の意見を一切聞かず、唯只管に原作を読み進める事のみに集中した為、最終的に涙を飲む事となってしまいました……何故ってそれは…… 私の愛しい愛しいしと……レゴラス王子の君は……アラゴルンが……サムが……単行本一冊分語られる中……たったの2行(←程度の印象)しか語られず……「彼等の後ろにはレゴラスとギムリの姿が見えました。彼等はとても元気そうでした」とか、「その後、レゴラスとギムリは約束通 り二人で洞窟へ行きました」とか……たったそれだけで……内容は描かれておりませんとは……意外にございました……。周りの方々が仰るには、「レゴラスの登場を余りにも楽しみにして、或意味それを心の支えとして読み進めている姿を見て、本当の事を伝える勇気が奮い起こせなかった……」だそうで……。 唯一教えられた事は、「後書きと、各章終わりに有る小さな文字は読むな!」でした……。これは教えて貰えていて良かったと思います。 指輪物語、実は指輪がどんな方法にしろ世の中から消え去った後、主力登場人物達のその後が簡単に描かれて終幕だと思っておりましたが、その後処理が細密に描かれているとは思っていませんでした。そして、舞台の中心地から離れれば離れる程、偉大なる指輪所持者の偉大さは遠く及ばずただの人として扱われる、その空しさに、とても椅畳まれない気持ちがしました。最初はホビット荘を守りたい一心で飛び出し、その後事の大きさを思い知り、思っても見なかった程辛く重い使命を負わされ、そして、常に「戻りたい」と願っていた故郷に戻っても、そこには「良くやったね!!」と暖かく迎えてくれる人もなく、時代が巡って少し変わった故郷……それはフロドの想い描く故郷ではもうなくなって……(ビルボが居ない時点でもう既に変わってしまったと想わざるを得ないのかも知れません。何しろフロドはビルボとゆっくりと旅を語り、本を執筆し、共に過ごす事を望んでいましたから!) 彼の功績を真に讃えるのはたったの三人……。無論故郷の人達から有り難がられる事を望んで行った使命では無いにしろ、それでも余りにも彼が可哀想に思えました。 「彼を殺してはならない。」と静かに制した彼の台詞も、彼の成長っぷりを表現していたと想います。モリアの坑道でゴクリを見た時に抱いた感情は、もうないんだなと、感じました。 話が脱線しますが、この台詞には私も非常に賛成なのです。といいますのも、かつて江戸時代に仇討ちが許可されていたのを始めとし、世界各国には復讐が有る程度正当化されている節があります。勿論戦争も「やられたからやりかえす」所謂力を力で制するやり方をとっています。目には目を、歯には歯を……そして、やられた側の人間がまた復讐を誓い、誰かがその復讐を諦めるまで、ずっとその悪循環は続きます。ゲーム等でも面 白半分に「復讐」をテーマとした作品が数多く出ています。でもそれでは駄目だと想うのです。私の好きな武井さんの漫画「仏ゾーン」でも同じ様な感じで千手観音のセンジュ君が、かつて愛した娘が残虐非道な殺され方をした為信ずる事を止め復讐劇を続ける八部衆のアシュラ君の怒りを受け止め、それを外に出さないという強さを見せるシーンがありますが……全くその通 りで、怒りに怒りで返しては駄目だと想うのです。その人がそれまで行って来た悪行を、決して同じ目を遭わせる形で済ませてはいけないと想うのです。張本人には別 な形で償わせ、そして例えば被害者は、自分も同じ形で被害者を産む様な事をしてはいけないと想うのです。例え相手が殺人鬼であれ、それを殺せば殺した人も殺人者には変わり無いと想うのです。 フロドの願いは叶わず、「彼」は結局絶命してしまいました……。とても切なく、儚く、帰る場所も、種をも無くしてしまった綿毛が、ただ風に翻弄されている様に想いました。 旅立てて……よかったなと。ガンダルフが居る事が、せめてもの救いだと想いました。 とてもとても、悲しい悲しい結末でした。 |